自賠責の支払基準の拘束力

1 自動車損害賠償保障法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して
  損害賠償額の支払を請求する訴訟において、裁判所は、同法16条の3第1項が
  規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることが
  できる。(判タ 1207-70、最高裁 平18.3.30第一小法廷判決)


2 法16条の3第1項は、保険会社が被保険者に対して保険金を支払うとき又は
  保険会社が法16条1項の規定により被害者に対して直接損害賠償額を支払う
  ときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣
  定める「支払基準」に従ってこれを支払わなければならない旨を規定している。


3 Aは、Y保険会社との間で、本件車両を被保険自動車とする
  自動車損害賠償責任保険契約を締結していた。
  Xは、Yから、本件事故による損害賠償額の支払として、
  合計1809万2496円に支払を受けた。(死亡事案)
  本件は、上記事実関係の下で、Xが、上記支払額以上に損害賠償額が
  存在するとして、Yに対し、法16条1項に基づいて、本件事故による
  損害賠償額の残額の支払を請求する事案である。