清算型遺言の執行 判タ(1380-48)

1 遺産を換価処分して債務等を支払った後の残余を取得させる旨の清算型の遺言は,相続分の指定及び分割方法の指定の意味を持った包括遺贈と解されている。


2 占有者の排除
占有者が使用貸借の場合明渡を求めたうえで売却するか問題のあるところであるが,訴訟を提起し,長期間争うことは,遺言執行者に対し過大な負担を負わせることになるので,通常,遺言者はそこまでの意思を有していないと考えられる。


3 不動産の売買による所有権移転登記手続については,遺言執行者が法定相続人に相続登記をしたうえで,買受人に対して所有権移転登記をする。遺言者からの直接の移転登記はできないとするのが登記先例である。
但し,学説には反対説がある。


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(1) 法定相続人の相続登記を経由することから課税実務の便宜のためか,換価処分による譲渡益課税は法定相続人に対してなされる。
(2) よって残金の分配にあたり津税分は予め,控除しておく必要がある。