共有者への相続財産持分全部移転(民法255条と民法958条の3)

1.相続人不存在かつ特別縁故者不存在の場合になされる、共有者への相続財産持分全部移転登記手続は、相続財産法人を登記義務者、共有者を登記権利者とする共同申請による。

2.登記義務者の同一性を示すものとして、被相続人の共有持分取得の登記に関する登記識別情報(又は登記済証)を添付する。

3.民法255条に基づく権利の移転であるため、登記原因を証する書面は存在しない(法定の添付書面はない)が、特別縁故者不存在確定証明書を添付することが、実務上求められている。

4.また、相続財産選任審判(代理権証明書として)と、相続財産管理人の印鑑証明書の添付も要する(不動産登記令16条)。

5.登記原因は、「平成○年○月○日特別縁故者不存在確定」となる。
  日付は、特別縁故者財産分与の申立期間内に申立てがなされなかったときは、期間満了日の翌日となり、期間内に申立てはあったが却下決定がなされて確定したときは、却下決定の確定日となる。
  もっとも、この日付との関係でも、上記3の特別縁故者不存在確定証明書や、却下決定(または一部審判確定)の証明書は法定の添付書面ではない。