供託金の取戻(担保)(転付命令)

1 【取戻請求権者の範囲】
 取戻請求権者は,原則として供託者ですが,その承継人又は取戻請求権の
 差押債権者・転付債権者も取戻請求ができます。
 取戻請求をするには,供託後に供託原因が消滅したこと(供託原因の消滅)
 が必要です。


2 【添付又は提示書類】
 (1) 取戻しをする権利を有することを証する書面(規則25条1項)
    供託原因が消滅したこと等,「取戻しをする権利を有することを
    証する書面」を添付しなければなりません。(規則25条1項)
 
 (2) 裁判上の担保供託金について,担保取消決定があった場合に保証金の
    取戻請求をするための確定証明付きの担保取消決定の正本

 (3) 印鑑証明書(規則26条)


3 【担保事由の消滅(民訴法79-1】
 (ア) 被担保債権が存在せず,担保権利者に損害が生じないことが確定した場合
 
 (イ) 担保原因行為(保全命令)の正当性が認められて被担保債権が発生しないこ
   とが確定した場合
   (1) 担保提供者(債権者)勝訴の本条判決が確定した場合
   (2) 担保原因行為を不法行為とする損害賠償請求訴訟において,担保権利者
    (債務者)全部敗訴の判決が確定した場合
 
 (ウ) 担保権利者が担保提供者の承継人となった場合
 担保権利者が被担保債権以外の債権に基づいて担保物取戻請求権の差押及び転付命令を得たときは,担保を消滅させることを権利者自身が求めていることになり,担保権を放棄したものと解されるから,訴訟がいかなる段階であるかを問わず,担保の事由が消滅した場合に該当する。