区分所有建物の管理組合は、区分所有建物の共用部分について、民法717条の占有者に当たらない(東京高判平成29年3月15日・判タ1453号115頁 原審:前橋地裁高崎支部平成28年1月19日)

 

1 区分所有建物の共有部分については、管理組合は民法717条の占有者には当たらず、区分所有者の全員が民法717条の占有者には当たる、とするのが立法担当者による解説であり、本判決も同じ考え方によったものと思われる。

2 本判決は、「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする」とする管理組合規約の規定は団体(管理組合)の目的・権能を定めた規定であって、区分所有者と管理組合の契約(権利義務関係を定めた規定)ではない、と判断して、債務不履行の主張を排斥した。

 第1審被告(管理費滞納者)が主張する管理組合規約の規定は、合同行為(団体設立行為)にすぎないと判断したものであろう。