根抵当権者による表示登記の抹消請求

1.一定の場合、根抵当権に基づく妨害排除請求として、滅失の登記
 及び表示の登記などの、いわゆる表示に関する登記の抹消登記手続
 請求が許される。(最判H6.5.12)

2.私人間における表示に関する登記の請求権をめぐる学説
   客観的現況に合致しない滅失の登記や表示の登記等の表示に関す
  る登記の存在により、所有者や根抵当権者等の第三者がその権利に
  対する妨害を受けていると認められるような場合には、右の第三者
  の所有名義人に対する表示に関する登記請求権を肯定するのが通説。

3.問題点
   建物の表示の登記や滅失の登記などの表示に関する登記は権利に
  関する登記とは異なり、登記権利者及び登記義務者の観念がなく、
  私人間における登記請求権を認める余地はないようにも考えられる。

4.登記官の職権調査の実情
  a.登記官は、不動産の表示に関する登記については、登記原因を
    構成する事実が真実であるとの心証を得たときに限り、その登
    記をなすものであり(不動産登記法25条2,49条10)
  b.不動産登記事務取扱手続準則88条も、「不動産の表示に関する
    登記の申請があった場合には、原則として実地調査を行うもの
    とする。ただし、申請書の添付書類又は公知の事実等により
    申請に係る事項が相当と認められる場合には、所要の実地調査
    を省略しても差し支えない。」