1 法193
① 保全処分違反
② 行為制限違反
2 法194
遂行される見込みがないことが明らかになったとき
3 再生手続の廃止とは、再生手続の目的を達成することなく、再生手続
を将来に向かって終了させることをいう。法は、本条(法193)の他に、
191条、192条、194条において手続廃止事由を定めるが、これらは、
いずれも、「廃止の決定をしなければならない」と規定し、
必要的廃止事由である。
4 本条1項は、「廃止の決定をすることができる」と規定し、裁量的
廃止事由である。
5 本条は、再生債務者が裁判所の命令や法の定める重要な義務などに
違反したときには、再生手続による再生が可能な状況にあるとしても、
そのような悪質な再生債務者に裁判所の関与下で行われる再生手続を
利用させその利益を与えるべきではないことを根拠としているもので
であり、一種の制裁的な意味から廃止事由としたものである。
6 違反の態様・程度は多種多様であって、手続を廃止することが適当
でない場合や、事案によっては、監督命令や管理命令を発したうえで
手続を継続すべき場合もありうることから、裁判所に廃止するか
どうかの裁量が与えられている。
7 本条に基づく廃止決定をするかどうかについては、違反の態様・
程度、その影響などから、当該事件における具体的妥当性を検討し、
さらに、本法およびその手続全体に対する社会的信用の観点をも
考慮して判断することが要請される。
8 倒産事件処理において、保全処分制度は非常に重要な役割を果たして
おり、裁判所のこの命令に再生債務者が違反することは、当該事件に
つき公正・迅速な進行を困難にするのみならず、債権者など利害関係人
の当該事件に対しては勿論、民事再生手続全般に対する信頼を損なう
ことにもなる。
したがって、再生債務者が保全処分命令に違反することは重大で
あり、看過するべきではないから、廃止事由としたものである。
9 再生計画の遂行または法律の規定によって生じた効力に影響を
及ぼさない(195条⑥)。