1.① 再生手続では担保権は別除権として取り扱われ再生手続によらずに
行使できることを重視して有効であるとする見解
② 民事再生法1条の立法目的は会社更生法1条とほぼ同様であるから、
最三小判昭57.3.30の趣旨に照らし再生手続においても倒産解除特約
は無効であるとする見解。
2.民事再生手続開始の申立てがあったことだけを理由に、リース業者がリー
ス物件を取り戻せることになると、民事再生の目的である「債務者とその
債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業
又は経済生活の再生を図る」ことが困難になる(東高判19.3.14判タ1246-337)
3.① 更生手続においては、手続開始後の担保権の実行が全面的に禁止されて
いることから、更生手続開始申立てを理由に開始前に担保権の実行とし
てのリース契約の解除を認めることは更生手続の趣旨と目的を害するか
ら倒産解除特約は無効であるとの結論を導きやすい。
② これに対して、再生手続の場合は、担保権は別除権として再生手続によ
らずに行使でき、再生手続開始後であってもリース料の支払がないと担
保権の実行として契約の解除等ができるから、更生手続と比較して、
再生手続開始申立てを理由に特約の効力を否定する理由に乏しいという
見解。
4.弁済禁止の保全処分が発令されても、手続開始後でも、リース料の不払いが
あれば再生債務者は遅延の責めを免れず、リース業者はいつでも不払解除特約
に基づいてリース契約を解除でき、その実行は契約の解除等といった意思表示
のみで完了すると一般的に解されている(金法1844-54)。
5.① リース物件の引渡の法的性質について、リース物件の利用権を担保の
目的とする立場からは、解除の意思表示により利用権がリース業者に
移転し、それと同時に利用権は混同により消滅し、リース業者は完全な
所有権に基づいてリース物件の取戻しをすることになり(取戻権)、
② 留保所有権を担保の目的とする立場からは、所有権に基づく取戻しと
する見解と、別除権行使の一環として引渡しを請求することになると
する見解がある。