1 熟慮期間中にした相続債務の弁済は、管理行為の範囲内であるのか、
相続財産の処分行為として単純承認したものとみなされるのか。
2 学説上、処分行為説と保存管理行為説がある。
3 熟慮期間中は、相続財産の保存を目的とした管理がなされるべきであり、
相続債務の弁済は、この目的を逸脱した行為と認められるから、処分行為
とみるべきである。
特に相続財産が債務超過、すなわち総負債額が総資産額を超過した状態
にあれば、一部の債権者への弁済が他の債権者を害することは明らかで
あるし、相続人がこのことを知った上で弁済をしたとすれば、もはや
限定承認や放棄の選択権を失ってもやむを得ないというのが処分行為説
の理由。