条件か期限か

1. 数社を介在させて順次発注された工事の最終の受注者XとXに対する発注者Yとの間におけるYが請負代金の支払を受けた後にXに対して請負代金を支払う旨の合意は、上記工事が一部事務組合から発注された公共事業に係るものであって、同組合からの請負代金の支払は確実であったなど判示の事情のもとにおいては、Xに対する請負代金の支払につき、Yが請負代金の支払を受けることを停止条件とする旨を定めたものとはいえず、Yが上記支払を受けた時点またはその見込みがなくなった時点で支払期限が到来する旨を定めたものと解すべきである。
最判平22.1014)(金法1925-100)

2. Yは、本件入金リンク条項は、Xに対する請負代金の支払につき、Yが請負代金の支払を受けることを停止条件とする旨を定めたものであると主張

3. 第1審、原審とも、Yによる停止条件の主張を採用して、主位的請求を棄却すべきものとした

4. 解釈基準に、付款を「条件」と解することによって「有償」の世界に「無償」の原理を強制する結果になる場合には、その付款は不確定「期限」と解釈することが当事者の通常の意思に合致すると解釈することが当事者の通常の意思に合致するとする見解

5. 原審としては、Yは、口銭等の金銭的な利益を得ていないから、代金の支払に関する完全なパイプ役にすぎないとし、他方、Xも、Yの役割はそのようなものにすぎないと認識し、Yが請負代金の支払を受けなかった場合にまでYに支払を求めるこどができるとは認識していなかったものであるとして主位的請求を棄却した。