不法原因給付と破産

1 破産者から得た不当利得に当たる場合に,当該利得を受けた者が破産管財人に対し,その利得が不法原因給付に基づくものであるとして返還請求を拒むことができるか。消極(判タ1372-149)


2 これを否定して破産管財人の返還請求を認める複数の地裁裁判例がある
 (大阪地判平1.9.14判タ718号139頁,東京地判平18.5.23判タ1230号216頁)


3 その理由とするところは,総債権者に公平な満足を得させる立場にある破産管財人は破産者とは独立した主体であり,破産管財人の返還請求を認めても,不法原因給付に対する制裁として不当利得の返還を否定する民法708条の趣旨に反しないという点にある。(東京判平24.5.31)


4 不法原因給付を行った者の債権者は,当該債権を代位行使して返還請求をすることができないとする大判大5.11.21民録22輯2250頁がある。
学説は上記判例を支持するものと,不当利得返還請求を肯定するものとに分かれる。