規範的要件の要件事実 (判タ1387-24)

1 「過失」、「正当な理由」などの規範的要件の要件事実については、
  「過失」などの規範的評価それ自体を主要事実とし、それを根拠づける
  具体的事実を間接事実とする見解(間接事実説)と、評価根拠事実と
  評価障害事実に分け、いずれも主要事実であり当事者の主張を要する
  見解(主要事実説)があり、主要事実説が通説であるとされている。


2 過失相殺における過失を基礎づける具体的事実について、
  当事者の主張を要するかという点について見解が分かれている。


3 本稿は、主要事実説を採ると様々な不都合が生じることを具体的な
  事例に基づいて検討し、間接事実説を採用するのが相当であることを
  論じている。


4 過失相殺における過失については、主要事実説に立ったとしても、
  具体的な事実について当事者の主張は必要ではなく、裁判所が
  証拠資料から裁量で過失相殺ができると解するのが相当であること
  を論じている。