1 高等学校卒業後の学資
私立の医科大学の入学金のように特別に多額なものでない限り、子の資質・
能力等に応じた親の子に対する扶養義務の履行に基づく支出とみることが
できる。
2 子に対する扶養の範囲内とは言えないものの、相続人全員が大学教育を受け、
ほぼ同額の受益を受けている場合には、「特別受益として考慮しない」とする
のが相当である。
3 被相続人の子供らが、大学や師範学校等、当時としては高等教育と評価でき
る教育を受けていく中で、子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が
分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する
扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まない
ものと認識するのが一般的であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、
特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものという
べきである。(大阪高決H10.12.6,家月60-9-89)