1 問題点
相続開始時における遺産土地についての使用借権が特別受益に当たるか否か。
2 相続開始時における遺産土地についての使用借権は、生計の資本としての
贈与として、特別受益になる。
すなわち、遺産土地に建物を建て、その土地を無償で使用している相続人は、
使用借権の設定を受けたことにより、土地使用借権(通常、土地の一割程度)
の生前贈与があったものとして、土地使用借権相当額について特別受益を
受けたと考えることになる。
3 この場合には、被相続人の持戻し免除の意思表示の有無を検討することになる。
4 結局、使用者が特別受益を持戻をしてかつ取得者になるため更地評価になる
という二段評価をする考え方が主流になっている。
5 「地代相当額も特別受益に当たる」とする見解
(1) 被相続人は、無償使用期間中の地代相当額を遺産の
前渡しとして持戻しをさせる」とは考えないであろう。
(2) 被相続人が対象不動産を相続人に無償使用させていなければ、当然第三者に
賃貸して賃料を得ていたはずであることが立証できない限り、被相続人に賃料
相当額の損失を生ぜしめたとはいえないし、通常はその点の立証をすることは
困難と思われる。