1 取得条項
● 申立人は、同目録記載1の土地及び同2の建物を取得する。
(1)相続開始後遺産である不動産の登記名義が被相続人のままである
場合には、遺産分割により当該不動産を取得した共同相続人は、不動産
登記法27条により、相続を原因として、直接取得者の単独名義に所有
権移転登記を求めることができるから、取得者に対する他の共同相続人
の登記移転義務を定める必要はない。
2 共同相続登記を経ている場合
● 申立人は、同目録記載1の土地を取得する。
● 相手方は申立人に対し、前項(1)の土地について、遺産分割を原因
とする共有持分○分の○の持分移転登記手続をする。
(1)相続開始後、遺産分割前に、共同相続登記がされている場合、遺産
分割により当該不動産を取得した共同相続人が、遺産分割を原因として
単独名義に所有権移転登記手続をするには、共同相続人全員による共同
申請が必要であるから、取得者が単独で登記申請をできるようにするため
には、他の共同相続人の持分移転登記義務を定める必要がある。
3 被相続人から相続人の一部に単独の相続登記がされている場合
● 同目録記載1の土地は、申立人Aが取得する。
● 相手方Bは、相手方Bを除く当事者全員に対し、前項記載の土地につ
き、所有権移転登記を、被相続人から当事者全員に対する相続を原因
とする別紙法定相続分一覧表による所有権移転登記に、更正登記手続を
する。
● 申立人Aを除く当事者全員は申立人Aに対し、前項記載の土地につき、
遺産分割と原因とする各共有持分の移転登記手続をする。
(1)被相続人から相続人の一部に単独の相続登記がされている不動産を
遺産と認定した上で他の共同相続人に取得させる場合には、共同相続人
全員の共同名義の更正登記をした上で、取得者に持分移転登記をする
ことになる。
(2)被相続人から共同相続人の一人に所有権移転登記手続がなされてい
る場合、甲(被相続人)の遺産の分割により、相続人B(調停による
取得者)が当該不動産を取得するのであるから、A(共同相続人)から
B(調停による取得者)に直接相続を原因として移転登記することは
受理されない。
4 相続開始前に相続人に所有権移転登記がされている場合
被相続人から共同相続人の一人(相手方B)に贈与を原因とする所有権
移転登記手続がなされている不動産を遺産と認定した上で他の相続人に
取得させる場合、被相続人と登記名義人(相手方B)との間の登記を抹消
した上で、取得者が相続を原因とする所有権移転登記手続をすることに
なる。