相続分の放棄

1. 共同相続人がその相続分を放棄することである。

2. 【手続】
相続分を放棄する相続人は、相続が開始してから遺産分割までの間であればいつでも可能であり、方式は問わない。


3. 【実務】
本人の意思であることを明確化するため、本人の署名と実印の押印、印鑑登録証明書の添付を求めている。


4. 【脱退届】
遺産分割調停・審判では、当事者の地位の喪失について手続の明確性の観点から脱退届の提出を必要とする。


5. 【効果】
ア) 相続分の放棄は、相続人としての地位を失うことはなく、相続債務についての負担義務を免れない。
イ) 相続分の放棄により他の相続人の相続分が変動する。相続放棄であると子2人で1人が相続放棄すると1/4が1/2になるが、相続分の放棄であると相続分は1/3になる。


6. 相続人としての地位は失わないので、相続債務については、法定相続分の割合で負担しなければならない。


7. 相手方のない単独行為であり、その趣旨の意思表示がされた場合には、即時にその効力を発生し、撤回をすることはできない。


8. 共同相続人の一人であるAがBに対し相続分を譲渡した後に、他の共同相続人Cが自己の相続分を放棄した場合、放棄されたことにより本来Aが取得すべき相続分がAに帰属するか、Bに帰属するかについては、見解が分かれる。