1 民事訴訟法上許されている予備的併合または予備的反訴に準じるもの
については、予備的届出として許される。
主位的請求が認容された場合には当該届出の効力を失わしめる趣旨の
届出のうち、主位的請求が破産手続に密接の関連するもので、
かつその認容および排斥が破産管財人に明確に了知できるものは、
予備的届出として認められる。
2 (1)主位的請求として財団債権あるいは取戻権としての
認容を求めているもの
(2)主位的請求として破産管財人主張の否認権行使の排斥を
求めているもの
(3)主位的請求として破産管財人から提起されている別訴に
おいて提出している相殺抗弁の認容を求めているもの
3 保証人等の破産者に対する「将来行うことがある求償権」についての、
債権者が破産手続に参加しないことを条件とする届出を、予備的届出
として説明する文献があるが、上記の予備的届出とは性質が異なる。
この届出は主位的な届出である。
その主位的な届出に、104条3項ただし書の法定条件が成就すれば届出の
効力を失わしめる旨の解除条件を付したものと解される。
解除条件付届出も認めてもよい。
4 債権者としては、主位的に、共益債権・財団債権の支払を求める訴訟を
提起すると同時に、1か月の不変期間内に予備的な申立てとしての
破産債権等の査定申立てをすることになる。
5 東京地裁破産再生部の場合には債権調査は換価等が終了した直後の
債権者集会期日兼一般調査期日において認否が行われる(後倒し認否)ため、
それまでの間に主位的請求の当否について破産管財人との間で法的に
決着している場合が多い。
6 査定決定に対し異議訴訟が提起された場合には、主位的請求に係る訴訟と
併合審理ができれば矛盾判断は回避されるが、異議訴訟が提起されず査定
決定が確定した場合には、その後に主位的請求についてされた判断と矛盾
する場合の取扱いに困難な問題が生じる。
7 予備的届出に係る債権が財団債権・共益債権であるとして査定申立てを
却下する決定が確定した後、主位的請求について倒産債権であるとして
棄却する判決が確定した場合、上記却下決定がその効力を失うと解する
のが困難と思われる。