取得税再更正処分等取消請求事件(価額弁償と遺贈の時期)

1 本件土地の遺贈に対する遺留分減殺請求について、受遺者が価額による
弁償を行ったことにより、結局、本件土地が遺贈により、相続人から受遺者
に譲渡されたという事実には何ら変動がないこととなる。
最判平4.11.16 判タ803号61頁)

2 裁判官大堀誠一の補足意見
遺留分の減殺請求がされたことによりいったん失効した遺贈の効果が、価額
弁償によって再度相続開始時にまで遡って復活し、遺贈の目的が被相続人
ら受遺者に直接移転することになるとする考え方の方が、価額弁償の効果に
ついて定めた民法1041条1項の規定の文言にも、遺贈の遺言をした被相続人
意思にもよく合致し、また、法律関係を簡明に処理し得るという点でも優れ
ているものといえる。価額弁償の価額算定の基準時の点については、公平の
理念に基づく実質的な配慮から、特に現実の価額弁償時の価額をもって弁償
を行わせるべきこととしたものと考えることで足りるものというべき。