1 特別受益としての贈与
特別受益としての贈与は、特段の事情のない限り、相続開始1年前
であるか否かを問わず、また、損害を加えることの認識の有無を問わず
、すべて加算される。
2 最三小判平成10年3月24日
民法903条1項の定めある相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始
よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済
事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求
を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法
1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象
となるものと解するのが相当である。
3 遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象と
なるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できない
ことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものという
べきであるからである。