保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合における共同保証人間の求償権の消滅時効中断の有無(最一小判H27.11.19判タ1721・108)

1.本件は、借入金債務を代位弁済したXが、他の共同保証人であるYに対し、民法465条1項、422条に基づき、求償金残元金と遅延損害金の支払を求めた事案である。
2.Yが求償権の時効消滅を主張した。これに対し、Xは共同保証人間の求償権は主たる債務者に対する求償権を担保するためのものであるから、主たる債務者に対する求償権の消滅時効の中断事由がある場合には、民法457条1項の類推適用により、共同保証人間の求償権についても消滅時効の中断の効力が生じていると主張して争った。
3.主たる債務者の対する求償権の消滅時効の中断事由が生じたときに共同保証人間の求償権の消滅時効が中断するか否かについては、学説上議論された形跡がなく、裁判例も公刊物上は見当たらないようである。
 共同保証人間の求償権が、論旨のいうように主たる債務者に対する求償権の担保という性格を有するものとは解されない。
4.(判旨)民法465条に規定する共同保証人間の求償権は、主たる債務者の資力が不十分な場合に、弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから、共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される。
 したがって、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても、共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないものと解するのが相当である。