民訴法17条に基づく移送−要件・考慮要素の検討を中心に−(判タ1446号5頁)

1 民訴法17条の類推適用による自庁処理
  民訴法は、特定の地方裁判所又は簡易裁判所を専属的管轄裁判所とする旨の管轄の合意に反し、法定の管轄裁判所に当たる他の地方裁判所又は簡易裁判所に訴えが提起された場面において、当該裁判所が管轄違いを理由とする専属的管轄裁判所への移送の申立を却下し、当該訴訟につき自庁処理をすることができる旨の規定を置いていない。
2 自庁処理の許否
  裁判所は、民訴法17条、20条1項の類推適用により、管轄違いによる移送の申立を却下し、当該訴訟の自庁処理を行い得る、と解する見解が一般的である。
3 要件・判断基準
  要件につき見解の相違が見られる。
  ⑴ 通常の17条移送の場合よりも厳格な要件の下で許されるとする見解
  ⑵ 通常の17条移送の場合と同様の要件の下で許されるとする見解