1.破産手続開始申立後に債務者が死亡した場合に、それまで進められてきた
破産手続を無にし、あらためて相続財産に対して手続をやり直すことにする
と、手続的に無駄が多いし、破産債権者にとって不利益になることもある。
2.開始決定前に相続が開始したときは、相続債権者等の関係者の申立てに
より、当該相続財産についてその破産手続を続行する旨の決定をすることが
できるものとし(226条1項)、他方、破産手続開始の決定後に相続が開始し
たときは、当然に当該相続財産についてその破産手続を続行するものとした
(227条)
3.続行の申立ては、相続が開始した後1か月以内にしなければならない
(226条2項)
4.なお、破産手続が続行された場合でも、相続財産に関する免責手続は行わ
れず、債務者の相続人が負債を相続することになるため、相続人は相続放棄
または限定承認を検討すべきである。
5.破産手続開始決定後の債務者の死亡
破産者が破産手続開始決定時以降に取得した財産(新得財産)は、相続財産
ではあっても、上記当該相続財産(破産財団)には含まれない。
6.免責手続との関係
免責手続の対象とならない。
破産者の相続人は、破産者に対して有する債権につき相続債権者と同一の
権利を有するものとして、破産債権者たり得ることに照らすと、破産者の相続
人を破産者たる相続財産の承継人とみることはできない(高松高決平8.5.15、
判時1586号79頁)
免責手続が行われない結果、配当を受けなかった破産債権(債務)は相続の
対象となる。相続人がこの相続を回避するには、別途限定承認または相続放棄
を行う必要がある。