破産管財人の源泉徴収義務(大阪高裁判20.4.24)(金法1840-36)

1.破産管財人個人に支払った管財人報酬および元従業員らに配当した退職金
 について、税務署長が破産会社に対して源泉徴収にかかる所得税の納税告知
 処分の事案。

2.破産管財人は、その権限に基づき、破産債権に対する配当または財団債権
 に対する弁済に係る源泉所得税を徴収し納付する義務を負う。(判旨)

3.本件退職金につき破産管財人源泉徴収義務を負担するとすれば、受忍し
 がたい過大な手続上の負担を強いられるばかりか、その履行に要する費用は
 破産財団の負担となって合理的な理由なく破産債権届の負担に帰せられる
 ことについて
  そのような費用は破産会社が支払を行ったとしても生じる費用であるから、
 元来、自己の債権の引当てとして期待できなかった性質のものであるので、
 源泉徴収義務を否定する根拠にならない。

4.本件租税債権に係る源泉所得税の納税義務は、当該配当又は弁済の時に
 法律上当然に成立し、その成立と同時に納付すべき税額が確定するから、
 このように破産財団の管理上なされた支払に付随して当然に成立し確定する
 納税義務は、破産財団管理上の当然の経費として破産債権者にとって共益的
 な支出(共益的費用)に係るものであって、破産法47条2号但書のいう
 「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」に該当するというべきである。(判旨)