譲渡担保における債権譲渡の対抗要件

  XからCに対して譲渡担保権実行通知(書面または口頭による)がされた
 場合
  Y1・・・滞納処分による差押
  Y2がその破産管財人
  
 一、最一判13.11.22
  甲が乙に対する金銭債務の担保として、発生原因となる取引の種類、発生
 期間等で特定される甲の丙に対する既に生じ、又は発生すべき債権を一括して
 乙に譲渡することとし、乙が丙に対し担保権実行として取立ての通知をするま
 では、譲渡債権の取立てを甲に許諾し、甲が取り立てた金銭についての乙への
 引渡しを要しないこととした甲、乙間の債権譲渡契約は、いわゆる集合債権を
 対象とした譲渡担保契約といわれるものの一つと解される。この場合は、既に
 生じ、又は将来生ずべき債権は、甲から乙に確定的に譲渡されており、ただ、
 甲、乙間において、乙に帰属した債権の一部について、甲に取立権限を付与し
 取り立てた金銭の乙への引渡しを要しないとの合意が付加されているものと
 解するべきものである。したがって、上記債権譲渡について第三者対抗要件
 具備するためには、指名債権譲渡の対抗要件(民467.2)の方法によることが
 できるのであり、その際に、丙に対し、甲に付与された取立債権の行使への
 協力を依頼したとしても、第三者対抗要件の効果を妨げるものではない。

 二、最二判16.7.16
  その契約内容を実質的にみれば、上記契約に係る債権譲渡は、債務者に
 支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきもの
 であり、上記規定に基づく否認権行使の対象となると解するのが相当である。

 三、
  一の判例停止条件付債権譲渡の否認肯定説と融和説が有すると解され
 ていた。

 四、
  集合債権譲渡については債権譲渡特例法が制定され、また、前掲最一判
 13.11.12により集合債権譲渡担保の対抗要件具備の方法が確立されている
 今日、対抗力のある債権担保を設定するには、それらの正当な手続による
 べきで、対抗要件の具備を怠るならその危険は担保権者が負うべきであっ
 て、技術的な解釈によって法の目的を潜脱することは許されない。
 (金商1197)