破産法53条・54条の構造

◇破産法53条の構造

1.破産管財人のみの選択権(解除・履行)
  a.履行の場合 148条1項7号で財団債権
  b.解除の場合 54条 

2.相手方の催告権 解除擬制

3.631条 雇用(双方の解除権・・・1項の特則)
  本条の642条(民注釈217頁)請負(当事者双方の解除権・・・1項の特別)

4.民法642条の立証趣旨
  (お催告権について)請負は、報酬支払の前に仕事を完成させる(報酬支払
  と目的物引渡しとが同時履行(民633条本文))のが原則であり、破産手続
  開始後の仕事の報酬が財団債権となるといってもその全額の弁済が確実
  なわけではなく(152条1項本文)、不安の抗弁権により役務の提供を拒絶
  できるとしても契約関係から離脱する道はなお請負人に認めるべきである
  ことから、請負人にも解除権が認められる。

5.注文者が履行を選択(53・①)(民法642条は解除について相手方である
 請負人について解除権を認める53・①の特則)
  破産開始前の仕事に相当する部分については、
   ① 請負人の義務の不可分一体性等を理由に財団債権となるという見解。
   ② 原因が破産手続前にあること及び解除の場合の出来高清算処理との
     バランスを理由に破産債権となる見解。

◇破産法54条(解除)の構造

1.損害賠償請求権 破産債権

2.反対給付 取戻権か財団債権(民法642・①・・・請負の報酬は財団債権)