1.社内預金が「会社と使用人との間で雇傭関係に基づき生じたる債権」には
当たらず、優先的破産債権とはならない。
2.
① 社内預金について、賃料の支払の確保等に関する法律によって一定
の保全措置が講じられているのは、優先債権に該当しないためである
と考えられること。
② 社内預金の預入は希望者の任意によるもので、雇用契約を契機する
ものではないこと。
3.社内預金には、本件の事案のように労働者が任意に利用するもの(任意型)
のほかに、労働契約に付随して貯蓄契約を締結させるものや労働契約に
関連して給料の一部等を預金名目で会社に預けさせるもの(強制型)が
ある。強制型の社内預金が「雇用契約に基づき生じた債権」が該当し優先的
破産債権とされることが多いとみられる。