充当指定権と破産(判タ1323-106)

1 H22.3.16最判の補足意見
〔内容〕充当指定の時期的制限とは別に、破産手続開始の決定後は
    弁済充当に関する合意の効力を破産手続上主張することが
    できないことをいうものである。


2 判旨
  本件各弁済を受けてから1年以上が経過した時期において初めて、
 本件弁済充当特約に基づく充当指定権を行使する旨を主張するに
 至ったことが明らかであり、上記の時期に本件弁済充当特約に基づく
 充当指定権を行使することは、法定安定性を著しく害するものとして、
 許されないというべきである。


3 補足意見
 ① かかる弁済充当合意は、不動産競売手続における配当手続では、
   その効力を有せず、配当金は民法489条ないし491条の規定に従っ
   て数個の債権に充当されるとするのが判例である。(最判昭62.12.18)

 ② このように、弁済充当合意は、法定の換価手続における配当手続
   においては、その効力を主張し得ないものであるところ、破産
   管財人によって別除権の目的財産の受戻しがなされて、その際に
   別除権者に弁済がなされる場合も、同手続は、一般執行手続たる
   破産手続の一環として行われるものである以上、やはり同様に、
   弁済充当合意の効力を主張することはできないものというべきで
   ある。