1 H22.3.16最判の補足意見
〔内容〕充当指定の時期的制限とは別に、破産手続開始の決定後は
弁済充当に関する合意の効力を破産手続上主張することが
できないことをいうものである。
2 判旨
本件各弁済を受けてから1年以上が経過した時期において初めて、
本件弁済充当特約に基づく充当指定権を行使する旨を主張するに
至ったことが明らかであり、上記の時期に本件弁済充当特約に基づく
充当指定権を行使することは、法定安定性を著しく害するものとして、
許されないというべきである。
3 補足意見
① かかる弁済充当合意は、不動産競売手続における配当手続では、
その効力を有せず、配当金は民法489条ないし491条の規定に従っ
て数個の債権に充当されるとするのが判例である。(最判昭62.12.18)
② このように、弁済充当合意は、法定の換価手続における配当手続
においては、その効力を主張し得ないものであるところ、破産
管財人によって別除権の目的財産の受戻しがなされて、その際に
別除権者に弁済がなされる場合も、同手続は、一般執行手続たる
破産手続の一環として行われるものである以上、やはり同様に、
弁済充当合意の効力を主張することはできないものというべきで
ある。