1 裁判官は、期日の約1週間前頃から、記録の検討を始め、原審
判決・控訴理由書・証拠説明書の順に記録を検討することが多い。
2 結果陳述の方法
第1審で提出された訴訟資料が控訴審の訴訟資料となるためには、
当事者により、第1審の口頭弁論の結果が陳述されなければならな
い(民訴法296条1項)。
3 結果陳述の方法には、「原判決記載のとおり原審口頭弁論の結果
陳述」とする場合と、「原審記録のとおり原審口頭弁論の結果陳述」
とする場合とがある。
4 前者は、第1審で提出された訴訟資料や証拠資料などが第1審判決
に適示されたとおりのものであったものとして控訴審に顕出される
こととなり、仮に実際に当事者が第1審でした主張と第1審判決事実
摘示中の主張とに食い違いがあったとしても、控訴審においては、
第1審判決事実摘示中の主張が当事者の主張であるものとして、事後
の審理が行われる。
5 後者は、第1審で提出された訴訟資料や証拠資料などは第1審で
実際に行われたとおりのものとして、控訴審に顕出され、控訴審に
おいては、これを前提として事後の審理を行うことになる。
6 弁護士は、第1審判決中の事実摘示を問題ありと考えるのかどうか
を明確に意識して陳述することが必要である。