収益執行事件申立の留意点 (その3)

【滞納処分との競合】
1 給付義務者への賃料債権が滞納処分による差押えを受けている場合の手続進行については,滞調法に調整規定がない(法93条の4は裁判所による債権差押え等がされている場合についての規定であると解される。)以上,先着手主義によると解さざるを得ないので,当該給付義務者から管理人が収益を収受することはできない。このため,無余剰となる可能性があるので,注意しなければならない。


2 そのためのは,物上代位による差押を行い,滞納処分の解除をしてもらうようにする。
租税・公課と抵当権等による物上代位との優先劣後は,国税徴収法53条2項の趣旨により,租税・公課の法定納期限等と抵当権等の設定登記がなされた時期の先後によって優先関係を決することになると考えられる(国税徴収法16条)。