1 寺院型墓地の場合,墓地使用権を取得するためには檀家になることが必要である。
2 種々の義務を伴う入檀義務を課すことができるのかが問題になる。
この問題は,檀家ではないことが,墓埋法13条「墓地,納骨堂又は火葬場の
管理者は,埋葬,埋蔵,収蔵又は火葬の求めを受けたときは,正当の理由がな
ければこれを拒んではならない。」の「正当の理由」に当たるかという問題と
して争われる。
3 裁判例
【1】従来から寺院墓地に先祖の墳墓を所有するものから埋葬蔵の依頼に対し
ては寺院墓地管理者は,その者が改宗離檀したことを理由としては原則
としてこれを拒むことができない。
【2】他方、寺院墓地管理者は自派の典礼を施行する権利を有し,
(1)異宗の典礼の施行を条件とする依頼
(2)無典礼で埋葬蔵を行うことを条件とする依頼については,寺院墓地管理者は
自派の典礼施行の権利が害されるということを理由にしてこれを拒むことが
できる。
というバランスある考え方もある。
4 当該寺院の典礼によらずに埋葬した者に対する墓地使用権消滅請求
寺院型墓地に墓地使用権を有していた者が,改宗離檀し,当該寺院
の典礼によらずに埋葬した場合,寺院は,墓地使用権の消滅を主張
できるかという問題がある。