収益執行と二重開始 (民執規24条)

1 強制管理等の開始決定がされた不動産について更に強制競売の申立てがあった
  場合には、両手続はそれぞれ独立に進行するが、強制競売の手続において不動産
  が売却され買受人が代金を納入すると、これにより不動産の所有権が移転する以
  上、原則として強制管理等を続行することは許されないと解される。
  このような場合、強制管理等の事件の関係者が、強制管理等の事件の取消しを
  予測できず、不測の損害を受けるおそれがあるため、強制管理等の開始決定が
  された不動産について強制競売の開始決定がされたときには、一定範囲の者に
  強制競売の開始決定がされたことを通知をすべきこととされたものである。


2 管理人に対する通知(の理由)
  管理人は一定の管理計画の下で管理をしているため、予想以上に短期間で管理を
  打ち切らざるを得なくなると、管理計画を立て直す必要に迫られることもあると考え
  られるから。


3 強制競売が先行する場合の通知の要否
  本条が規定する場合とは逆に、強制競売の開始決定がされた不動産について
  強制管理等の開始決定がされることもあり得る。
  この場合には、強制管理等の差押債権者及び管理人は、短期間で強制管理等
  が取り消される運命にあることは承知しているし、強制競売の差押債権者に
  とっては何ら不利益がないので、いずれに対しても通知の必要はない。