優先的破産債権の弁済方法(大阪地裁 金法1892-23)

1 本来であれば、一般債権を含む全ての破産債権について債権調査を行っ
 た上で優先的破産債権に対する配当を行うべきことになる。しかし、この
 ような場合にすべての破産債権について債権調査を行うことは煩瑣であり、
 一般破産債権について配当できないことは明白であるから合理的にも乏しい
 ものといえる。


2 従前の運用では、(ア)公租公課について全額を弁済するに満たない場合
 には、優先的破産債権となる租税債権について和解契約の許可を得た上で
 全額弁済し、(イ)公租公課について全額を弁済することができるものの、
 優先的破産債権となる労働債権については一部しか支払えない場合には、
 優先的破産債権となる租税債権について和解契約の許可を得た上で全額
 弁済し、優先的破産債権となる労働債権について破産法101条1項に
 基づく弁済許可を得た上で按分弁済を実施するという方法が認められて
 いた。


3 さらなる手続の合理化のため、(イ)の場合、上記の方法に加え、破産
 手続開始後の間もない段階で労働債権の額を把握でき、労働債権該当性、
 債権額および財団債権部分との区別のいずれについても争いがない場合に
 限り、労働債権についても和解契約の許可を得た上で按分弁済を実施する
 ことを可能とした。