2 就業規則の強行的直律的効果
就業規則に定める労働条件の基準に達しない労働契約の部分が無効となり、
無効となった部分は就業規則に定める基準によると規定する(93条)。
3 就業規則の法的性質
就業規則それ自体を法律的にも労働者および使用者を拘束する法規範と
みるか(法規範説)、就業規則はそれだけでは法規範たりえず、労働者
と使用者間の契約内容に取り込まれることによって初めてそれらの者を
拘束するか(契約説)。
4 定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけで
なく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体と
労働者との間の労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立
しているものとして、その法的規範性が認められるに至っている(民法92条参照)
ものということができ・・・、当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び
内容を現実に知っていると否にかかわらず、また、これに対して個別的に
同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるものというべき
である(最大判S43.12.15)
5 就業規則の不利益変更の拘束力
① 法規範説は論理的に労働者を拘束するとの結論となりやすい。
②「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者
に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許され
ない・・・が、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定
を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なもの
であるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由
として、その適用を拒否することは許されない(前記最判)。
6 判例における就業規則変更の合理的判断
そのわく組と基準によれば、就業規則の不利益変更の合理性いかんは、
当該変更の内容(不利益の程度、内容)と、変更の必要性との比較衡量を
基本とし、不利益の程度・内容の酌量において変更との関連で行われた
労働条件改善の有無・内容を十分に考慮に入れるとともに、変更の社会的
相当性や、労働組合との交渉経過、他の従業員の態度などをも勘案するもの
である。