法定地上権に関する判例の分析と展望(判タ1348-58〜74頁)

1 土地区画整理事業は長期にわたり、その間に仮換地や保留地予定
 地上に建物が建てられ、抵当に供されることがある。
  よって、法定地上権の所有権要件が問題となる。


2 仮換地の場合


3 保留地予定地の場合
  ① 保留地予定地は、仮換地指定処分とともになされる指定により、
   従前の所有者は使用収益権を喪失し(土地区画整理法99条1項)、
   組合が使用収益を内容とする管理権を取得する(同法100条の2)。
  ② 同権利は、上記使用収益権とともに換地処分により公告がなさ
   れるとその公告の日の翌日に保留地指定処分の設権的効果により
   保留地所有権を原始取得できることをも内容とする(同法104条
   11項)。
  ③ 施行者は、資金調達の必要もあることから、上記使用収益権等
   を、換地処分前においても、整地が完了したものから順次譲渡し
   ている。買受人は、上記使用収益権と停止条件付所有権移転請求
   権を取得する。
  ④ 公告前においては、登記簿が存在しないことから、保留地予定
   地に抵当権の設定は不可能である。
  ⑤ 上記買受人が、保留地予定地の使用・収益を開始した後に、
   上記使用収益権に基づき、同地上に建物を築造し、これに抵当権
   を設定した後、換地前に抵当権が実行されたとして法定地上権
   成立するかという問題である。