商事留置権と抵当権

1.土地の抵当権の設定後に建築された建物のためにその敷地である当該土地
に対して商事留置権が成立する場合であっても、これを当該土地の抵当権者
に対抗することはできない。
(大阪高裁、平23.6.7第11民事部決定)(判タ1931-93)


2.裁判例がいくつか紹介されている。大別して、土地に対する商事留置権の成
立を肯定する見解と、否定する見解と、不動産に対する商事留置権の成立それ
自体が認められないものであるか否か、不動産に対する商事留置権の成立が
認められるとして、建物の建築業者の敷地に対する独立した占有が認められ
るか否か、土地に対する占有が認められるとして、当該占有が商行為によっ
て建築業者に帰属したものであるか否かといった点が見解の対立するゆえん
であって、商事留置権の対抗力といった点も問題となっている。


3. 東京地方裁判所の民事執行センターにおける取扱いも、商事留置権
認めない取扱いに改められているといわれている(別冊判例タイムズ24号136頁)