1 原告は工場抵当法(以下「法」という。)一条にいう工場に属する建物(本件建物)につき順位一番の根抵当権を設定していたが,右設定登記について法三条に規定する目録(以下「三条目録」という。)は提出されていなかった。
被告は後順位の抵当権者であるが,その抵当権設定登記については三条目録が提出された。
2 執行裁判所は,被告の抵当権については三条目録が提出されていたことから,本件物件の売却代金に相当する額を原告に優先して被告に配当する旨の配当表を作成した。
3 原告は,本件物件について設定した原告の根抵当権の効力は本件物件にも及んでいるから,原告は本件物件の売却代金につき,被告に優先して配当を受けることができるを主張した。
4 本判決は,次のとおり判示した。
工場抵当権者が供用物件につき第三者に対してその抵当権の効力を対抗するには,三条目録に右物件が記載されていることを要するもの,言い換えれば,三条目録の記載は第三者に対する対抗要件と解するのが相当である。