先行滞納処分と収益執行

1 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(滞調法)上,滞納処分手続
  と収益執行手続間の調整規定はないから,両手続の関係は,「先着手主義」に
  より規律されると考えられる。

2 滞調法上,「債権を目的とする担保権の実行又は行使」(物上代位による差押)
  と滞納処分による債権差押えの調整規定は存在し,収益執行と滞納処分との競合
  についても,これらの規定が適用されると解する余地もある。
  だたし,上記各調整規定は,第三債務者による供託,事情届の提出による執行裁
  判所の配当実施を予定しているなど,収益執行と滞納処分の調整を念頭に置いた
  ものでないから,上記各調整規定の適用はないと解すべきであろう。(判タ1319-12)