1.注文者による請負契約解除の場合
破産手続前に、
① 注文者は前渡金から工事出来高分を控除した残額の過払金返還請求権を
有するが、当該債権は破産手続開始前の原因に基づくもので破産債権。
② 破産手続開始前に注文者と請負人が合意により請負契約を解除。
③ 注文者が破産手続開始後、請負人の債務不履行を理由とする解除。
④ ②③も破産債権
2.破産管財人による請負契約解除の場合
① 請負人に破産手続が開始した場合、破産法53条1項により、破産管財人は
請負契約を履行するか、解除するかの選択権を有する。
② 請負人の破産につき、破産法53条(旧破59条)が適用される
(最判昭和62年11月26日)
③ よって財団債権
3.まとめ
① 破産法54条2項の規定については、破産法改正の際、破産者が受けた給付
が現存しないときにその価格相当額を財団債権として認めることは、他の
破産債権者との間に不公平感が残り問題があるとして議論がなされたが、
従前の規定がそのまま維持された経緯がある。
② 前記最高裁判例、並びに破産法改正の経緯に照らせば、請負人破産の場
合に、破産法53条により破産管財人による請負契約の解除ないしは解除と
みなされる場合の注文者による過払金返還請求権は、破産法54条2項により
財団債権としての権利行使が認められることになる。(但し、問題あり)