破産管財人の源泉徴収義務(金法1916-57)

1 当該報酬・手当て等の「支払をする者がこれを受ける者と特に密接な関係
 にあって、徴税上特別の便宜を有し、能率を挙げ得る点を考慮したことに
 よるもの。


2 労働債権については、破産管財人と労働者との間に直接の法律関係が
 ないこと、管財人の配当は破産手続上の職務として行うものであることなど
 から、密接関係性を否定する。


3 このような判断を前提にすれば、本件で扱われている場合以外の問題の
 取扱いも、このような密接関係節の判断で決まっていくことになろう。
 例えば、破産管財人が手続開始後に雇用した労働者との関係では、直接の
 債権債務関係に立つ者として、源泉徴収義務が肯定される。


4 一般に、破産者の契約関係は、特段の定めがない限り、破産管財人
 承継される(最一小判平18.12.21)
  しかし、源泉徴収義務は、国と徴収義務者との間に成立する公法関係
 に基づくものであり、徴収義務者自身の固有の義務である。
  契約上の義務とは異なり、当然に破産管財人が承継するものとは
 解されず、そのような承継を認めるには法律上の特別の根拠を必要とする。


5 財団債権性を肯定する。このような義務は、破産債権者において共益的
 なものとして共同で負担することが相当と解されることによる。
(現行破産法では148条1項2号)