1.意義
既判力は基準時における権利関係を確定しますので、当事者は基準時前に
存在した事由についての主張を遮断され、以後これらの事由を理由として
確定された権利関係の存否を争うことができなくなります。
2.基準時後の形成権行使
① 前訴で主張しなかった形成権を、弁論終結後に行使することによって、
前訴で確定された権利関係の変更・消滅を主張することが許されるかという
問題が生じます。
② 取消権
取消権の除斥期間は法定されており、当該期間が経過したときは行使でき
なくなることを定めているわけですが、裏を返すと、その期間内は取消権を
行使することができる期間として保障していることを意味しています。
したがって、既判力によって遮断されると解することは、実体法上の地位
を変更することを意味する。
取消原因たる事実は基準時前に既に存在しており、その行使の意思表示が
基準時後になされるというにすぎないわけですから、このような場合に前訴
確定判決の既判力を容易に覆すことができるとするのは、既判力制度を検討
するに際しては法的安定性を可及的に高めることを指向すべきことと相容れ
ません。