留置権の存在を証する文書は、以下の理由から、公文書に限定すべきである
との考え方がある。
1 競売手続は定型的かつ迅速に処理をすることを旨とし、執行裁判所が
実体的な内容にまで立ち入って審査・判断するのは相当でない。
2 民事執行法181条1項4号で一般の先取特権について私文書を認めている
のは、賃金債権等法が認めた特定の債権を保護するという政策的配慮に
基づくものである。
3 私文書をもって競売権の存在を証する文書とすることを認めると、
本来公的な競売手続の利用を私的に許すことになりかねない。