2012-01-01から1年間の記事一覧

破産手続開始後,差押給与の取扱

1 給与差押え⇒破産開始決定(管財型)の場合の「否認」「供託された場合」「第三債務者が未払いの場合」について検討した最近の文献に,法曹時報64巻8号49頁「破産手続・民事再生手続における否認権等の法律問題第2回継続的給付の差押えがされたばあ…

相続資格の重複

1 実親が嫡出でない子を養子とし、あるいは祖父母が孫を養子にすると、自然血族関係に加えて法定血族関係が重複して発生する。 2 実子と養子が婚姻すると、配偶者のほか兄弟姉妹という関係が重複して発生する。 3 相続資格の重複には、(1)同順位相続資格…

再転相続と遺産説 (判タ1197-100)

1 本件は、AB夫婦の子であるXが、父Aが死亡し、さらに、Aの相続に係る民法915条1項の熟慮期間が経過した後でAの遺産の分割が未了の間に、Aの相続人でもあるBが死亡したことから、A及びBの各遺産の分割審判を申し立て、これが併合された事件であり…

再転相続

1 被相続人Xが死亡し、その相続が開始された後、共同相続人の一人であるAが死亡し、第二次的な相続が開始した場合、Aの地位をその相続人が当然承継し、Aの相続人が被相続人Xの相続人として、遺産分割手続に加わる。このような場合を再転相続という。 …

無委託保証と相殺の禁止

1 保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において、保証人が主たる債務者である破産者に対して取得する求償権は、破産債権である。 2 保証人が主たる債務者の破産手続開始前に…

死因贈与と登記【7491】

【7491】 1 死因贈与による所有権移転登記を執行者が申請する場合の代理権限を証する書面は、執行者の指定のある死因贈与契約書が公正証書であるときは、当該公正証書のみで足りる。 2 私署証書によるときは、当該私署証書に押印した贈与者の印鑑証明書又…

990条の死因贈与への準用

1. (1) 準用説(少数説か) (2) 反対説 2. 遺産について包括的死因贈与契約がなされる場合は、背景となる特殊事情からして、特別な限定がない限り、消極財産を含む遺産の総体を対象としているとみるべきであるから、当事者の意思を充たすには、その契約に…

自動車保険

一 対人 1. 被保険者 (1) 記名 被保険者 (2) a. 〃 の配偶者 b. 及び配偶者の同居の家族 c. 別居の未婚の子 (3) 記名被保険者の承諾を得て、車を使用または管理中の者 (4) 記名被保険者の使用者2. 以下の費用は、損害の一部とみなす (1) (2) (3) 緊急措置…

自動車総合の用語

【保険契約者】 保険契約が成立すれば、保険料の支払義務を負うこととなる者【被保険者】 保険契約により補償を受ける者または補償の対象となる者【記名被保険者】 保険証券記載の被保険者【免責金額】 支払保険金の計算にあたって損害額から差し引く金額で…

遺贈と登記

1. 遺贈による所有権移転登記の申請は、遺言執行者が選任されているときは、受遺者と遺言執行者とが共同して行う。2. 遺言執行者が選任されていないときは、受遺者と遺言者(遺贈者)の法定相続人全員が共同して行う。3. 農地を包括遺贈するときは「相続…

民事再生と手形

1. 会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行は、同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を、法定の手続によらず同会社の債務の弁済に充当し得る旨を定める銀行取引約定に基づき、同会社の債務の弁済に充当することができる。(…

民事再生終結後の破産 【第190条】

1. 再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。(1項) 2. 本…

遺言執行者と相続財産管理人

【相続人が不存在の場合における相続財産管理人との権限競合】1. 遺言者が全財産を遺贈(包括遺贈)したときは、全財産は受遺者に対し遺言者の死亡と同時に物権的に移転するから、遺言者に相続人がいなくとも、相続財産が存在しない。したがって、相続財産…

収益執行の管理人の権限

1. 【判決要旨】1 担保不動産収益執行の管理人は担保不動産の収益に係る給付を求める権利を行使する権限を取得するにとどまり、同権利自体は、担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に弁済期の到来するものであっても、所有者に帰属する。2 抵当不…

更新料・敷引特約に関する判例(最高裁判決の骨子)

1. 更新料判決(2011年7月15日) 1) 更新料の法的性質 一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質。 2) 消費者契約法10条前段要件 更新料条項は、特約により賃借人に負わせるという意味において、任意規定の…

自由と正義 7月号

賃貸借契約の新しい論点1. 更新料・敷引特約に関する判例の動き2. 適格消費者団体による賃貸借契約条項の使用差止請求訴訟の特徴3. 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)の解説4. 建物賃貸借契約の特約に関するこれまでの裁判例概観

葬式費用

1. 相続人負担説 2. 相続財産負担説 民法306条、309条は、経済的に困窮している者にも身分相応な葬式を営むことを可能にするべく、相続財産がその担保となる旨を規定したにとどまるものであって、葬式費用の最終的負担者を決定する基準とはならないとする…

葬儀費用

1. 葬儀費用とは、一般に狭義の葬式(追悼儀式及び埋葬等行為)に要する費用 2. 争いのあるもの(1) 考え方 その1 1) 墓地の代価、葬式後の見舞客の食事代については範囲外と解されている。 2) 初七日、四十九日の法要にかかる費用については、通夜から納…

有益費と任意売却

1. 賃貸人が負担すべき必要費を賃借人が支出した場合、賃貸人に対し直ちにその償還を請求することができ、請求できる費用額の範囲は、賃借人が支出した金額の全額。 2. 賃借人が有益費を支出した場合、賃貸借が終了した時点で賃借物の価格の増加が現存して…

祭祀承継者

第一 1. 民法897条 、 一般財産に含めて遺産分割の対象にすることが、感情・習俗にそぐわない。2. 民法769条(協議上の離婚による897条の権利の協議) 死亡によらない、地位の譲渡。3. 民法897条 、 1) 被相続人の指定 2) 慣習 3) 家庭裁判所4. 家事審判…

「民法646条2項による移転」と登記原因

1. 【6675】所有権移転登記の登記原因日付 民法第646条2項による移転」の場合、登記原因の日付は、当該移転の日につき特約があるときはその日を、それ以外の場合には登記申請の日を記載する。2. 民法上の委任契約に従い、受任者が委任者のために自己の名を…

遺留分減殺と相続分指定、持戻し免除

1. 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には、遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される。 2. 特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財…

相続分の放棄

1. 共同相続人がその相続分を放棄することである。2. 【手続】 相続分を放棄する相続人は、相続が開始してから遺産分割までの間であればいつでも可能であり、方式は問わない。 3. 【実務】 本人の意思であることを明確化するため、本人の署名と実印の押印…

安全配慮義務違反と弁護士費用

1. 労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相…

控訴の提起

1. 控訴は、第一審の判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(285)。 2. 不服の範囲や理由は、任意的記載事項であるが、攻撃防御方法が記載されていれば、控訴審における準備書面として扱われる(民訴規175)。 3. 不服…

遺産分割の瑕疵

1. 要素の錯誤 (1) 遺産の評価 (2) 義務の不履行 (3) 遺言の存在2. 無効の主張方法 (1) 無効確認の訴え(固有必要的共同訴訟)3. 法定解除4. 合意解除5. 相続人が遺産分割協議の意思決定をする場合において、遺言で分割の方法が定められているときは、…

養育費による差押と破産

1 民執30条1項は、「請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行 は、その期限の到来後に限り、開始することができる。」と定めています。 2 実務も、扶養義務等債権を請求債権として、期限の到来した定期金債権に 基づいて、数か月ごとに繰り…

重度交通事故 (判タ 1367-71)

第一、遷延性意識障害損害賠償事案の全体像1. 遷延性意識障害について (1) 遷延性意識障害の異議 (2) 治療法、予後等 (3) 遷延性意識障害患者の生活状況及び介護状況 (4) 審理の特徴・・現地進行協議期日 審理は、通常事件と同様であるが、被害者の症状、介…

給付(一般先取特権)による差押

1. 先取特権は、一定の種類の債権について、法律上当然に発生するものであるから、 その発生原因事実としては、先取特権の付与される被担保債権の請求原因事実を立証すれば足りる。 2. 給料債権の請求原因は、 (1) 雇用契約の存在 (2) 給料の定め (3) 労務…

熟慮期間

1. 文献 (1) 家族法体系 389〜(26頁) (2) 放棄の実務 33〜(74頁) 2. S59年判決まで (1) 相続人覚知時税 (2) 相続財産覚知時税(S54大阪高決) 3. S59年判決(積極の相続財産は「皆無」の事案) (1) 限定説・・「相続財産が全く存在しない」と誤信して…