2008-01-01から1年間の記事一覧

相殺の禁止と停止条件付受動債権(最判H17.1.17)(判タ1174-222)

1.破産債権者は、破産者に対する債務がその破産宣告の時において期限付 又は停止条件付である場合には、特段の事情のない限り、期限の利益又は 停止条件不成就の利益を放棄したときだけでなく、破産宣告後に期限が 到来し又は停止条件が成就したときにも、…

担保権消滅許可申立と異時廃止(大コンメ773頁)

1.財団組入れをしても破産債権者に配当できない場合、担保権消滅許可の 「破産債権者の一般の利益に適合するとき」の要件を充足すると言えるのか どうか?2.「破産債権者の一般の利益」という表現は、破産財団の拡充の資すること の表現として採用された…

手引(売掛金・貸金)

一、前提 1.(1) 帳簿 (2) 契約書の存在 2.支払状況 (1) 遅滞債権か否か、いつからの遅滞か? (2) 遅滞の期間・・時効消滅か? 3.債権の存否 (1) いつの時点の債権か否か。 (2) 既払状況の確認方法 ① 相手方の回答 ② ①を受けて a.銀行 b.本人 への…

信用保証協会法の改正による新業務の追加(金法1848-64)

1. ① 保証を行なうにあたって中小企業者の新株予約権を引き受けること ② 求償権先に対する債権を金融機関等から譲り受けること ③ 事業再生ファンドに対して出資すること2.①は新規の保証を行なうに際しての一手法として創設されたものであり、 ②および③は…

手引(債権認否)

一、 1.認否表作成 2.問題点検討、債権者に資料請求(第一回) 3.破産者に送付・確認 4.問題点のあるものについて、債権者に資料請求(第二回)二、破産管財人での検討事項 1.売掛金・・明細は求めない 2.手 形・・(写)提出 3.貸 金・・カー…

「誤嚥死亡事故」不法行為責任(判タ1275-219)

1.全国の老人養護施設等・・誤嚥事故が相当数発生している 最三小判平19.4.3判タ1240-176、東京地判平19.5.28判時1991-812.職員の不注意により本件誤嚥事故が発生したと主張し、不法行為又は 債務不履行に基づき、損害賠償を請求した。

会計士がつかない場合の監督意見(調査委員)の意見書

1.清算価値の資料の再チェック(公認会計士の業務)2.清算配当率の算定(同上)3.再生計画案が段階方式の場合、最低率の債権者との比較4.段階方式・・逆転現象に注意喚起

ヤミ金と不法原因給付

1 社会の倫理、道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が 当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に、被害者からの 損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額 から控除することの可否 2 いわゆるヤミ金融業…

任意保険の担保危険による分類

1.責任保険 ① 対人賠償保険 ② 対物賠償保険2.傷害保険 被保険者が急激かつ偶然の外来の事故によって身体に傷害を負ったとき に保険金を支払うことを目的とする保険である。 ① 定額給付方式 a.自損事故保険 b.搭乗者傷害保険 ② 実損てん補方式 a.無…

収益執行4

1.賃貸借の合意解約の権限は賃借人にある。2.よって管理人は、代理人的地位にあるので、催告・解除が可能。3.管理人は、賃料放棄、動産放棄、合意解約の和解も執行裁判所の許可を得て 可能。

収益執行における行方不明者の明渡

1.行方不明者への給付命令の公示送達2.管理人に取立権限発生3.催告・解除(解除は訴訟による)4.明渡訴訟

一般再生債権の弁済方法(段階型)

1.債権放棄方式 債権放棄を明示的に認める方式である。 こうした規定がなくても、債権放棄を行なえば同様の扱いを受けられる のが通常である。2.債権額区分方式 個別の債権放棄をまたなくても逆転現象を回避しうる。

請求可能な滞納賃料の範囲(収益執行)

1.① 開始決定時に既に弁済期が到来した法定果実(法93条2項) ② 後に、弁済期の到来する法定果実(法93条2項)2.抵当権の効力の及ぶ果実の範囲は、被担保債権の債務不履行後の分(民法371)3.管理人が請求可能な開始決定前の滞納賃料の範囲は、被担保債…

民法389条による一括競売

1.① 法定地上権が成立しないため、その建物は、土地利用権を失い収去され る可能性が高く、 ② 収去されることが前提となっている建物のある土地は、更地よりも売却 基準価格は低額となり買受希望者も現れにくく、現実の売却価格も低額 となることが予想さ…

民事再生と倒産解除特約

1.① 再生手続では担保権は別除権として取り扱われ再生手続によらずに 行使できることを重視して有効であるとする見解 ② 民事再生法1条の立法目的は会社更生法1条とほぼ同様であるから、 最三小判昭57.3.30の趣旨に照らし再生手続においても倒産解除特約 …

賃借人のための保証

1.賃借人のための保証は、相続性がある(大判昭9.1.20)。2.期間の定めのある建物賃貸借における賃借人のための保証人は、反対の 趣旨をうかがわせる特段の事情がない限り、更新後の賃貸借から生ずる 賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意…

フルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約のリース債権と共

1.大阪地裁倒産部は、双方未履行の双務契約に関する規定を運用せず、 未払のリース料債権は別除権付き再生債権であるという考え方である。 (判タ1102-4)2.東京地裁破産再生部は,一般的解釈は提示せずに、再生債権者及び申立 代理人において、個別の事…

譲渡担保における債権譲渡の対抗要件

XからCに対して譲渡担保権実行通知(書面または口頭による)がされた 場合 Y1・・・滞納処分による差押 Y2がその破産管財人 一、最一判13.11.22 甲が乙に対する金銭債務の担保として、発生原因となる取引の種類、発生 期間等で特定される甲の丙に対する既に…

再度の再生の申立

1.再生計画の不認可決定確定後に再度の再生手続の開始申立てをすること はできる。(平17.1.13東京高裁第7民事部決定)(判タ1200-291)2.法が、再生計画不認可の決定が確定した場合でも、裁判所はその再生債務 者に破産の原因たる事実があると認めると…

競売による所有権移転と賃借人の敷金

(前提)(破産法) 1.198条2 打切主義 2.70条後段 賃料債務を弁済する場合は、後に相殺・寄託請求ができる。(前提その2)(敷金) 1.敷金返還請求の条件成就は民法の解釈 2.民法の解釈 明渡完了時に残額について具体的に発生する権利(最判S48.2.…

破産者の事業の継続

1.破産手続開始の決定により破産者の事業は原則として廃止される。2.破産者の事業を継続することが破産財団にとって有利である場合に、 破産管財人が裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる。 (法36条)3.本条の許可について即時…

収益執行3

1.給付義務者への送達は、同人に対する収益執行の効力発生要件(93.④)2.裁判所より管理人に対し、 ① 送達日を給付義務一覧表を作成して通知 ② 陳述書の(写)を交付 ③ 交付要求書の(写)の交付3.配当要求の終期はない。(競売との差) 但し、期間毎…

収益執行2

1.口座名 20(ケ)A号 管理人弁護士B2.賃料の振込先の連絡方法・・開始決定のお知らせに記入 ① 開始決定・差押登記 ② 口座作成・連絡 ③ 給付命令に同封(給付命令の送達は差押登記完了後)

成年後見人の破産

1.破産 ① 欠格事由 ② 当然に地位を失う2.開始決定(官報掲載は、決定から約1ヶ月後。その後2週間で確定)が確定(?) すると失効するが、後任の成年後見人をそれまでに選任。3.破産申立の時点で辞任の申出をして、次の人を選任するのが望ましい?4.…

担保不動産収益執行1(188条→強制管理)

1.開始決定送付時に給付義務者に効力が生じる(93条④)2.陳述催告(93条の3)3.管理人の選任は開始決定と同時(94条)4.管理人の権限(95条①) (1)a.管理 b.収益の収取 c.換価 (2)602条に定める期間を超えて賃貸する時は、債務者の同意…

遮断効(失権効)

1.意義 既判力は基準時における権利関係を確定しますので、当事者は基準時前に 存在した事由についての主張を遮断され、以後これらの事由を理由として 確定された権利関係の存否を争うことができなくなります。2.基準時後の形成権行使 ① 前訴で主張しな…

数個の物上保証の債権と予定不足額

1.根抵当権設定により複数の債務の物上保証をした者が、債務者の破産手続 開始決定後、担保不動産の任意売却により上記のうちの一部の債務を全額 弁済した場合でも、債権者は、上記複数の債権すべてついて破産債権として 行使することができる。(大阪高裁…

退職後の競業避止条項が公序良俗違反とされた事例

◇福岡地裁平成19.10.5判決(判タ1269-197)1.退職後一定期間は使用者である会社と競業行為をしない旨の入社時に おける特約や就業規則は、従業員の生存や職業選択や営業の自由を侵害 することになるから、上記特約や就業規則において競業避止条項を設ける …

固定資産税買主負担分の財団組入の是非

1.固定資産税精算金は、税務上(消費税法上)の売買代金の一部で、たとえば 建物の固定資産税精算金については、別途、消費税が課せられます。 納税義務者は1月1日現在の登記名義人ですので、売主が納付しないからと いって、買主が不利益を被るわけでは…

破産管財人の源泉徴収義務(大阪高裁判20.4.24)(金法1840-36)

1.破産管財人個人に支払った管財人報酬および元従業員らに配当した退職金 について、税務署長が破産会社に対して源泉徴収にかかる所得税の納税告知 処分の事案。2.破産管財人は、その権限に基づき、破産債権に対する配当または財団債権 に対する弁済に係…